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横浜市でのナガレミル活用事例 
~ YOKOHAMA Hack! で人流、交通調査を実施(立場交差点) ~

YOKOHAMA Hack!

      

横浜市では、DX推進の取組として、事業やサービスにおける課題(ニーズ)と、民間企業が有するデジタル技術(シーズ)をマッチングし、課題の解決を目指す創発・共創のオープンなプラットフォーム「YOKOHAMA Hack!」の運営をしています。このたび、人手観測で行っている交通量調査の効率化と付加価値データの測定・分析による新たな価値の創出を目指して、岡谷エレクトロニクス株式会社(神奈川県横浜市)、立山科学株式会社(富山県富山市)、三井住友海上火災保険株式会社(東京都千代田区)、Intelligence Design株式会社(東京都渋谷区)の4事業者と協定を締結し、各事業者と実証実験を行いました。


■YOKOHAMA Hack! Webページより引用

https://hack.city.yokohama.lg.jp/

導入サービス

ナガレミル

「ナガレミル」は、3D-LiDARとAIを活用して、広い範囲で歩行者や車両の数、方向、速度などをデータ化するサービスです。最大の特徴は、3D-LiDARセンサーによる物体検知機能です。これにより、夜間や雨天でも高精度で人を検知できます。また、カメラとは異なり個人情報を取得しないため、自治体、イベント施設、公共交通機関など、さまざまな場面での活用が期待されています。

実施概要

●実施項目       :ナガレミルによる人流観測および交通観測

●実施場所       :立場交差点(横浜市泉区和泉中央南二丁目23番付近)

●計測時間       :15:00~20:00

●実施内容       :① 計測データのグラフ化およびカメラ映像と比較し3D-LiDARの認識精度を分析
             ② 車両の車種別通過台数、通過時の速度を計測

       

実施の経緯

「交通量調査のICT化」へのナガレミルの計測技術が評価され、YOKOHAMA Hack!で行われる実証実験にパートナー企業として選出されました

横浜市は、デジタルトランスフォーメーション(DX)推進の一環として、オープンイノベーションプラットフォーム「YOKOHAMA Hack!」を運営しています。「YOKOHAMA Hack!」は横浜市の行政課題を解決するため、様々な企業と連携をして実証実験を積極的に行っています。この取り組みの一環である「交通量調査のICT化」において、岡谷エレクトロニクス株式会社の人流・交通観測ソリューション「ナガレミル」が採用されました。

現在、交差点における交通量調査は、人手によって観測し、時間帯別・方向別・車種別に分類されています。横浜市では、市内の約60~100か所で同日に調査を実施することを目指していますが、人手の確保が難しい状況にあります。そのため、これに代わる新たな手法として「交通量調査のICT化」が検討されています。

ICTを活用した交通量調査では、AIカメラ、ドライブレコーダー、3D-LiDARなどのデジタル技術が導入候補として挙げられていますが、現時点では検討の初期段階にあり、精度調査が進められている状況です。

こうした中、当社の「ナガレミル」は3D-LiDARを活用した計測手法を提供しており、AIカメラやドライブレコーダーと比較して、広範囲の計測や夜間・雨天時の認識精度に優れている点が評価されました。これを受け、将来の交通量調査のICT化を担うデジタル技術を有する企業の一つとして協定を締結し、精度の実証を目的に本プロジェクトへ参画しています。また、車両速度や走行軌跡など、交差点における危険要因 や渋滞要因に加え、その他政策形成への展開を見据え、デジタル技術ならではの付加価値データの測定、分析も実施しました。

      
参照:記者発表資料


課題と計測目的

3D-LiDARを用いた交差点交通量調査の高度化と横浜市立場交差点での取り組み

立場交差点における交通量実態調査とICT活用への取り組み

横浜市泉区の立場駅前にある立場交差点は戸塚方面に向かう車と長後方面に向かう車で往来の多い「長後街道」と、泉区を北から南へ横断する片側1車線の県道402号(通称「かまくらみち」)が 交差するスポットです。そのため、昼夜に関わらず船舶輸送の陸送ルートとして「大型特殊車両」が多く往来し慢性的な渋滞が発生します。横浜市は市民からの要望もあり、渋滞緩和に向けて解決策を考えるべく、まずは現在の交通量の実態調査を進めています。弊社は、「交通量調査のICT化」に向け、ナガレミルで取得した通過台数と目視で取得した通過台数を比較し、精度調査を行いました。

立場交差点では、方向に関わらず一日を通して信号待ち車両による渋滞が起きている





交差点全体をカバーする3D-LiDAR設置方法と工夫

ナガレミルでは2台の3D-LiDARセンサーを設置するだけで交差点内の車両通過台数を網羅的に計測でき、自動で集計されます。さらには従来の目視調査では困難だった「車両の通過速度・正確な車種判別(大型車/小型車の識別)・進行方向・滞留時間」も同時に把握することが可能となりました。
今回の計測では、交差点の対角線上に2台の3D-LiDARセンサーを設置しました。使用したのはOuster社製の3D-LiDARで、1台で30m~50mの広範囲をカバーできる特性を活かし、2台の設置により交差点全体のデータを取得しました。
通常、3D-LiDARは地上2~3mの高さに設置されることが多いものの、大型車両が前を通過した際にレーザーが遮られ、一時的に交差点内の車両や歩行者を検知できなくなる可能性がありました。そのため、今回は5m~6mの高さに設置し、さらに広範囲を検知する補助的な役割として2台のLiDARを追加することで、より精度の高い計測を実施しました。

ナガレミルによるセンシング画面

実施結果

車両検知精度95%以上――ナガレミルによる交通量自動計測の有効性検証

目視による計測と比較したナガレミルの精度

下記のような形で、立場交差点における交通量調査を実施し、4方向からの流入および流入後の進行方向を車種別に計測しました。その結果、調査時間帯の15時~20時において、延べ約6,000台の車両が通行していたことが明らかになりました。また、長後街道を西から東へ通過する車両(断面D)の通行台数を社内スタッフが目視で計測し、3D-LiDARによる計測結果と比較しました。その結果、通行台数の一致率が全体平均で95%を超えていることが確認され(表1)、3D-LiDARによる車両および二輪車の高い認識精度が明らかになりました。
また、調査時間帯には日没後の時間も含まれていましたが、夜間においても計測精度が大きく低下することはなく、安定した認識性能が維持されていました。
一方で、大型車両の一部では一致率が80%台となるケースもありました。これについては、目視による車両サイズの判別が難しく、人によるカウントに誤差が生じた可能性が高いと分析しています。

     




実施結果からわかった渋滞要因

最も通過台数が多かったのは、「長後街道」を東から西へ直進する車両(方向5)と、西から東へ直進する車両(方向11)で、5時間の間に約2,800台が通過していました。 また、「長後街道」の時間帯・車種別の通過台数(表1,11方向)を分析したところ、小型車(車長11.5m未満)が毎時約500台の通行に対し、大型車両(車長11.5m以上)が毎時約10~20台(大型車の通行率 約5%)と、推測よりも少ない大型車の通行率となりました。
よって、立場交差点の渋滞は、大型車要因では無く、長後街道における「慢性的な小型車両の交通量の多さ」が、渋滞の要因の一つであると確認されました。



車両の通過速度に関して

今回の交通観測では、車両の通過台数に加え、交差点への進入速度についても測定が行われました。これは、ナガレミルを用いることで、ビデオ映像や手カウントでは難しい、車両の通過速度を同時に取得できるという特長を活かしたものです。さらに、グラフ1のように時間帯や通過速度別にデータをグラフ化することで、速度超過が発生しやすい時間帯や通行傾向の可視化が可能となり、危険要因の分析にも活用できます。

横浜市の評価

ナガレミルでの計測は従来の人手による調査と同等の性能があることがわかった。また、センサーならではの付加価値もわかった

横浜市の総評

LiDARによる交通量調査では、人手カウントした場合と比較して、95%以上の高い精度でデータを取得することができました。計測した翌日にはグラフとしてデータがでるので、データの集計にかかる時間や人的リソースが大幅に削減できるメリットもあります。また、車両の通過速度や交差点内の滞留時間計測、軌跡の作成、信号の表示との連携など、従来の人手カウントではできなかったデータの取得ができることもわかりました。

今後について

今回の実証実験により、最新のデジタル技術によって取得できるデータの精度・付加価値の理解を深め、これまでの人手による計測と比較して、効率化できるとわかりました。横浜市は、この結果をもとに、令和7年度から、交通量調査のICT化を進めていくとのことです。逆に、ICT化による課題も確認できたので、今後の技術向上や費用感の動向も注視しつつ、活用の可能性を検討していくとのことでした。

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